銀チョコロールはなぜ銀なのか?歴史から由来を紐解く
コッペパンの上にチョコレートがコーティングされてある銀チョコロール。
今じゃ定番の菓子パンですし、甘いもの好きでこれが嫌いって人はほとんどいないでしょう。
しかも銀チョコロールも進化していて、チョコレートがコーティングされているだけじゃなく、中にホイップクリームやチョコクリーム、バニラが入っていたりと色んな銀チョコロールが出ています。
より甘くなっていて、甘いものが食べたくなったりチョコを食べたいときは銀チョコロールを食べておけばいいみたいなところがあります。
ただ1つだけ気になることが、なぜ「銀チョコロール」という名前なのか?もっと言うとなんで「銀」なのか?という点です。
銀チョコロールに対抗してなのか、金チョコロールというのも出ていて、これは明らかに銀チョコロールから来ているというのは分かります。
いや、むしろ最初に金チョコロールのほうが後から銀チョコロールができて分かりやすいですが、最初に「銀」が来るというのも謎です。
ということで、銀チョコロールの由来を銀チョコロールができた歴史から見ていきたいと思います。
銀チョコロール発祥のお店
最初は長いコッペパンではなくエクレアぐらいの大きさで、「銀チョコロール」ではなくただの「銀チョコ」だったようです。
それができたのが1947年に創業した「ドンバル堂」という北九州市のお店。
残念ながらドンバル堂は閉店してしまって、もうやっていないみたいです。
ただ、2代目の社長に銀チョコについて取材にいったときの記録があったので、それをご紹介します。
銀チョコ誕生の明確な記録は残っていないのですが、大手のパンメーカーさんが開示している日本のパンの歴史に、ドンバル堂が銀チョコを作ったことが記されているそうで、それをTV局の方に教えていただき知りました。父は当時、製粉会社の技術者と親しくしており、共に新たなパンを研究、開発していたようです。銀チョコをはじめ、今なお弊社のロングセラーとなっているカツサンドやポテトサラダを挟んだサラダパンは、同時期に誕生したものではないかと考えています。
ドンバル堂 泉台本店出典 ドンバル堂 泉台本店
2代目の社長も知らなかったようで、テレビ局に教えてもらったみたいです。明確な記録も残っていないとのことですが、カツサンドやサラダパンと同時期とのことなので、そこから探っていくのが良さそうです。
食べログの口コミにサラダパンについて母に尋ねたという方がいて、40年前にはあったとのことでした。
ポテトサラダが入っていて、というよりもポテトサラダしかいれていないパン。 母に尋ねると40年前にはあったはず….なんて言うくらい前からあって素朴、出典 『生活の一部』by いなかパンダ : 【閉店】ドンバル堂 – 南小倉/パン [食べログ]
おそらく銀チョコもそれぐらいにはできていたってことなんでしょうね。
リョーユーパンから全国へ
そこから具体的にどう広まっていったのか?というのは分からなかったんですが、調べて出てきたのは福島県の製パン会社「リョーユーパン」でした。
今でもリョーユーパンで「銀チョコ」を売っていますが、ここからスーパーなどで売られるようになって、他の製パン会社でも作るようになったんじゃないかと思われます。
リョーユーパンの銀チョコも食べてみたいんですが、関東だと売っていないようなので、ちょっと難しそうですね。九州のほうに行く機会があったら探して食べてみたいと思います。
なぜ「銀チョコ」なのか?
さて本題の「銀チョコ」という名前の由来なんですが、ドンバル堂で売っていたときにチョコレートをコーティングしたコッペパンを銀色のアルミホイルで包んで売っていたからというのが有力です。
そのアルミホイルに「銀チョコ」って名前を書いて売っていたみたいなんですが、これが昔ながらの手作りパンという感じでレトロな雰囲気が良いんですよね。
【さよなら】昭和22年(1947年)創業、北九州市小倉北区のパン屋『ドンバル堂』が、9月6日をもって閉店。人気菓子パンの「銀チョコ」発祥の店といわれている。https://t.co/B7OhggRtdn pic.twitter.com/gkt5EIzgoF
— ほいじんが (@garaguda) August 23, 2019
なぜ銀紙に包んでいたのか?
これは板チョコレートを銀紙で包んでいるのと同じ理由じゃないかと思います。
つまりチョコを良い状態で保存するためですね。
アルミホイルで包むメリットは3つあります。
チョコの香りを保つ
チョコレートのカカオの良い香りがしますが、そのまま置いておくと香りがなくなってしまいます。
普通のチョコレートですら香りが失われてしまうのにパンにコーティングされたチョコレートは普通のチョコレートよりも純度が低いので、より香りが失われやすいです。
アルミホイルを巻くことによって、空気に触れるのを防いでくれるので、香りが逃げずに閉じ込めてくれます。
光や熱を防ぐ
チョコレートは光や熱に弱いです。チョコは熱を加えると溶けてしまうというのは誰もが知っているところだと思いますし、夏やチョコを持っていて溶けてしまったという経験がないという人はいないでしょう。
溶けてもまた冷やせば固まるんですが、このときにプルーム現象というのが起こります。
ココアバターが溶けて再び冷えて固まるとチョコの表面に白い粉や膜が浮き出てきます。これがプルーム現象で、チョコレート本来の味や香りが失われてしまい、食感もザラザラになってしまいます。
食べられないことはないですが、チョコレート本来の美味しさは失われてしまいます。
アルミホイルで包むことによって、光が当たるのを防いでくれますし、パンを持ったときに伝わる体温もチョコレートまで届きにくくなります。
銀チョコの場合は陳列台に並べやすくするためにもアルミホイルにしたんじゃないかと予想されます。
食べやすい
アルミホイルは手でも簡単に破けるので、ちょっとずつ銀チョコを出しながら食べることができます。
アルミホイルの上から持って食べられるので、チョコレートで手が汚れないのはもちろんのこと、アルミホイルのおかげでチョコが溶けにくくなります。
前述の通り、アルミホイルが体温を伝わりにくくしてくれるからですね。
ドンバル堂へのインタビューからも社長の人柄の良さが出ていますし、食べやすさも意識してアルミホイルを巻いた可能性は十分考えられます。
インパクトと分かりやすさ
色んなパンが並んでいる中、アルミホイルを巻かれた物体が置かれていたら、それだけでインパクト大ですよね。
ただ、それだけだと中身が見えないので、インパクトはあってもお客さんにどんなパンなのか伝わりにくいです。
そこでこの「銀チョコ」というそのまんまの見た目と中身を伝えるネーミングセンス。
パン屋さんだからパンなのは確定ですし、「チョコ」って書いてあればチョコパンなのはすぐに分かります。銀紙で巻かれたチョコパンから一番言いやすくて分かりやすい「銀チョコ」。
これ以上に分かりやすい名前はないでしょうし、一番最適な名前だと思います。
まぁ今は色んな製パン会社で販売されてアルミホイルには巻かれず袋に入れられて売られているので、「銀チョコ」が逆に分かりにくくなっていますが、歴史から見ていくとこの名前が最適なのが良く分かります。
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